【Report】ESMO congress VIENNA 2012

9月28日〜10月2日、オーストリアのウィーンで開かれた欧州癌治療学会議(ESMO)に、ウッズ、ガチャピン、ラブプー、カワジュンのドクター4名が参加した。

(1)ガチャピン:Change in HER2 status after neoadjuvant chemotherapy and the survival impact
化学療法中に乳がんのHER2に変化があることが、乳癌の予後に影響するか?
(2)ラブプー: Is there any difference in clinicopathological factors and prognosis of the young breast cancer?
若年性乳がんには臨床病理学的因子や予後について、通常の乳癌と異なった特徴があるか?
(3)カワジュン:Pregnancy-associated breast cancer: Chemotherapy during pregnancy
妊娠期乳癌でとくに妊娠中に化学療法を行った群の特徴と周産期に重篤な問題がなかったこと

というポスター発表を行い、ウッズ先生は監修役(というのは大義名分で、実際はウィーン観光??)だった。

上記3発表のうち、なんと(1)と(2)が「ベストポスターアワード」を獲得! 1つの病院から2つの賞が出るのは稀有なことと、喜びをかみしめるとともに、受賞してすぐに「兜の緒を締める」伸び盛りの(?!)若手ドクターらだった。


つかのまの観光では、オペラ座シェーンブルン宮殿といった建築物の麗しさもさることながら、大都市であるにもかかわらず、休日には閉まっている店が多数あったり(「たばこ屋で売っている」と教えられ訪れた店が休みで電車のチケットが買えず、ウィーン中を歩き回った)、昼からビール飲み、長い食事をとる街の人々の姿に、ヨーロッパ人は生活にゆとりがあるな〜、自分たちは働きすぎだな〜と感じた。

*なんと学会期間中、国会議事堂に巨大なピンクリボンが掲げられていた!

食事では、「ウィーナーシュニッツェル」という人間の顔より大きなサイズの名物カツを格闘の末なんとか平らげたとたん、ワンコそばのように脇から「おかわりはいかが」と声がかかり、ガチャピンとラブプー先生は丁重に辞退したものの、日本では何事においても控えめなカワジュン先生がおかわりを申し出たことは、この旅いちばんの驚きだった。

その他、「甘い七年戦争」といわれ、どちらが正当なザッハトルテかという論争を長く引き起こしたホテルザッハとウィーンの王室御用達のケーキ店デメル(Demel)の双方をかけ足で訪れ、どちらに軍配が上がるかを調査したが、いわゆる“イクメン”ではあるが“スィーツ男子”でないガチャピンは賞味自体を回避したため、結果は他のドクターらに確認を。

*のちにニルバがインタビューしたところ、
カワジュン先生:「クリームがのってちょっとさっぱりしたホテルザッハのほうがすきです」
ラブプー先生:「ホテルザッハ―に1票。甘さ控えめだったのと、やはりオリジナルなところが。でも実は、最終日にガチャピン先生と晩ごはん食べたお店のザッハトルテが一番おいしいと思ったんですよね」
ウッズ先生:「どっちもサイコー。それよりカワジュン先生がホテルザッハで巨大シュニッツエルをおかわりしたのは衝撃だった」ということで、ホテルザッハに軍配が上がった(”スィーツ男子”ニルバ記者としては、ラブプー先生が最終日に訪れたという店も気になるところ)。

特筆しておきたいのは、ガチャピンとカワジュン先生の患者さんであり、大切な友人であったKさんとの約束である。今回の出張が決まったとき、ウィーンに長く住んでおられたKさんに、「どこかおいしい店がありますか」と尋ねたところ、「ホテルニッコーの『雲海』という日本食レストランにはぜひ足を運んでみてください」とのことだった。

その後、Kさんが天国に召されるのが先で、ガチャピンらがウィーンへたどりつくのが後になった。約束を果たすべく「ホテルニッコー」へ直行すると、そこはすでに「ホテルニッコー」ではなくなっていたが、「雲海」は存在していた。そこで、Kさんを偲びながら、皆で食事をした。川沿いの、静かなレストランだった。

「ベストポスターアワード」の栄光と感謝を、Kさんをはじめとするすべての患者さんに捧げたい。そして、その成果を日々の治療に役立たせていけるよう努力したいと切に願う旅であった。(byガチャピン