【Report】第13回早期乳癌治療会議

2013年3月13日から16日の4日間,スイスのザンクトガレンで2年毎に開催されるザンクトガレン国際早期乳癌治療会議に出席してきた.

初めての参加であったため,寒さもこんなものかと思っていたが,今年は例年になく気温が低いということだった.

雪が降っていて,少し高いところに行くと積もっていた.宿泊はもっとも便利と思われたチューリッヒ駅のすぐ近くにしてみたが,ザンクトガレンの駅までは列車で1時間かかるため,かなり不便であった.しかも片道で3000円以上する.毎日となると結構馬鹿にならないのである.さらに物価が高く,いわゆる安くておいしい店というのはないように思えた。

私はいつものごとく、ランニンググッズを出張用バッグに忍ばせ,そしてチューリッヒの町を広く駆け巡った。町中は迷路のようで,道路は曲がりくねっていてどこにいるかわからなくなりそうだった.チューリッヒ湖までは数kmでたどりつけ,そこから流れ出るリマト川沿いはとても趣があった.

また,東西は丘陵に囲まれていて,最初は東側の方へ走って上った.斜面は氷ついていたが,新しいところを走るのはとても新鮮で,上から眺める町の景色もなかなかのものであった.
別の日は西側の方へ走っていったが,途中で町中の景色とは相容れない家々が並んでいるところがあり,チューリッヒの裏をみた気がした.


さて,肝心の会議であるが、世界の代表的な乳がんの専門医が集まり、早期乳がんの初期治療についコンセンサスを得ようというものである。最初の3日間はさまざまなトピックスに関するレビューが続き、最終日に代表者たちが壇上に上がり)、スライド上に示された質問に対して,投票をしていく。

レビューは,外科治療として,乳房温存術やセンチネルリンパ節生検,放射線治療として,より短期の照射や,加速乳房部分照射という乳房の手術を行った部位のみに短期間で集中的に放射線を当てる方法,2度目の放射線治療などがあった.

また5年以上の内分泌療法継続,乳がんの遺伝子診断などもあり,話は多岐に渡っていた.

知識を整理するには非常に良かったが,これだけ高い出費を覚悟して行くだけの価値があったかどうかはやや疑問である.最終日の質問も,過去の会議よりはまともだといううわさだったが,どうとも取れる質問も決して少なくなく,勉強になったとは言い難かった.

ちょっと批判的はコメントにはなってしまったが,以前より日本で注目され,臨床の規範となってきた会議の実情を知るよい機会であった.これからしばらくすると会議の内容が論文化される.その内容も会議のときとは随分と様相が変わるといわれているので,どうなるか楽しみである(byランナー).