貴公子の悩み

テレサ先生が医局不在の日、ニルバ家の裏庭である「すまいる文庫」付近で、めずらしくウッズ先生とガチャピン先生が歓談のひとときを楽しんでいた(でも、仕事人である両人は、そんな折でも目だけはパソコン上の仕事の画面を見ている)。

気になるそのテーマは、<現代の婦女子をいかに教育するか>――

「あー女子を教育するって、難しいな〜。ねえ、ピノコさん」
ウッズ先生が伸びをしながら声をあげる。
「ほんと、男ってもっと単純だから……なあ、ニルバ」
ガチャピン先生も、あいづちをうちながら、ニルバの頭をポンポンとたたく。

年々ドクターも女性の割合がふえていくブレストセンターにあって、ランナー先生をふくめた貴公子3人はもはや、貴重な存在である。だが、そんな状況下で、“ブレストセンター三銃士”は、ほんとうによく立ち回っておられる、とニルバはおもう。

ナースや事務方をふくめ、婦女子ばかりがひしめきあう医局にあって、レディ(?!)たちをやさしくなだめ、ときに強く諭し、そしてさいごに、さりげなくほめる心遣いもわすれない。
「ブレストセンターは女性が多くていいなあ」とうらやむ他科の男性ドクターもおられると聞くが、
これってホンモノのパラダイス? はたまた(ニルバも経験アリだが)女難の相ありの輩の修行先か――

そんなことを思いながら、あいづちを求められてもパソコンを打つ手をとめずに涼しい顔でスルーしているピノコさんの脇で、渋めのお茶をすする「修行僧」ニルバであったが――

おお! そういえばこのご両人、それぞれの巣へ帰還されても、婦女子ばかりにかこまれた貴公子たちではないか!

やはり神さまは、この紳士たるご両人を「婦女子の教育係」として、きちんと選んでおられるようである。

イクメンと イケメンの差は 女難の相 ―― にるば