年頭のごあいさつ2015

新年あけましておめでとうございます。

当ブレストセンターは、中村清吾先生が2005年5月に創立され、2010年6月に山内英子がセンター長を引き継ぎ、今日まで進化をつづけてまいりました。

2011年は、“TEAM”<Talent, Encouragement, Aim, Move>「それぞれの才能を尊重し、互いに励ましあい、同じ目標に向ってすすんでいく」ことを目標にかかげ、チームの骨子の充足に強めました。

2012年は、“SYMPHONY”として、チームの構成員がそれぞれ自己を磨き、誇りをもって各々の職責を遂行するという、「皆でハーモニーを奏でながらの成長」を目指しました。

2013年は、ブレストセンターのイメージキャラクターである”PINK BUS”になぞらえ、<Potential, Individual, Notable, Knowledgeable>「1人ひとりがもてる力を存分に発揮し、たがいに高め合い、知識をさらに積みあげながら」<Big, United, Smile>「患者さんもともに、笑顔で同じ方向を目指していく」ことを心がけました。

2014年のテーマは「つ・な・ぐ」でした。まさに今がんと診断され、飛行困難となった傷ついた蝶を支えるために皆がつながり、聖路加ブレストセンターの愛を社会につなぐこと、として、医療現場と社会をつなぐ活動も行なってまいりました。また、「つ・な・ぐ――継承と拡張」として、今までの伝統を振り返る年としました。

2015年のテーマは「和、輪、WA」です。
「和」  みなで和やかに和をもって尊しをモットーに、
「和」  日本独自のエビデンスを聖路加から発信
「輪」  患者さんのサポートRingを充実、拡充し
「輪」  をつなぐ―― そして、それらを基盤に
「WA」  っといわせるような聖路加ブレストセンターからの発信を目指します。

今年、ブレストセンターは10周年を迎えます。
皆で一緒に、WA! っといわせましょう!

本年もどうぞよろしくお願いします。

聖路加国際病院 ブレストセンター   
山内 英子

【Report】第6回スマイルパーティー

2014年11月24日(祝)第6回スマイルパーティーが開催された。このパーティーは、初代ブレストセンター長N先生の発案により2009年から毎年開催されている、当ブレストセンターに通院する方々と当院スタッフとの交流会である。

今年のテーマは(WA−和・輪)。和みを大切に、人と人・スタッフと患者さん・患者さん同士の輪を大切に、という想いをのせてスタッフはハッピ&ハチマキ姿で登場。今年の参加者人数は241名と過去最多で、客席をうめつくす方々の期待を感じながらいよいよ会の幕開けである。

スタッフ紹介のコーナーでは、スタッフ一人ひとりに密着取材を敢行し、ドクターの魅力を皆さんにお伝えしようと試みた。意外な一面が垣間見えて客席からは歓喜の声が! つづいて、ご自身もがんサバイバーでいらっしゃる樋口強さんの「落語」で笑いの渦に会場がわきたち、保坂バンドがファミリーで素敵なハーモニーを奏で、PREフラチームがスマイルホッパーズ(ブレストセンターチーム音楽隊)の生演奏をBGMに美しいフラダンスを披露してくれた。

夜な夜な練習して仕上げたブレストチームのよさこいで会場をさらに熱くなり……さいごは、なんと歌手のAIさんからのサプライズビデオメッセージが!

展示会場では、患者サポートグループの紹介、治療中役立つ下着・かつら・化粧品など紹介するのみでなく「体験型」として参加者が楽しめることをモットーに、趣向をこらしたブース作りが繰り広げられ大盛況だった。スマイルコミュニティーのみなさんによる、お紅茶とお菓子のふるまいも好評で、今年は近所のパン屋さんの美味しいあんぱんなどもあり、楽しいおしゃべりに華が添えられた。

今回の記念品はオリジナル手ぬぐい。ブレストセンター随一の芸術家、ウッズ先生のデザインで、おしゃれさが際立つ仕上がりだった。

年々、盛り上がりが増してゆくスマイルパーティー。来年も楽しみにお待ちください!
(by司会初挑戦でドッキドキの1日を過ごしたミンコロ)

<和みの一枚>「粧ふ」

俳句の季語に「山粧ふ(やまよそう)」という言葉があるそうですが、まさにこの「粧」の字がぴったりの季節に……いやはや、いつの間にかなりましたナ。

ニルバが忙しさにかまけてブログ執筆をあと回しにしているうちに……すみません、今年も冬眠を控え、また心新たにがんばります!

ある夫妻の風景

朝、診療前のテレサ先生がニルバ邸のまえを通りざま、ピノコさんに声をかけた。「ラテを買いに行くけど、一緒に来ない?」
そして、“ラテ”と聞いて添え菓子を想像しピクンとはね起きたニルバを見やり、「あ、ニルバも、よかったら」と笑顔でつけ加えた。

病院の本館1階には、「ベンジャミン広場」とよばれる憩いのスペースがある。洒落たことに、その脇に当世流行りの珈琲店が出店しているのだが、ベンジャミン広場は2階までの吹き抜けの造りとなっているため、朝いちばんの珈琲の香りは2階のブレストセンターのあたりまで流れてくる。その香りにつられて、ときどきテレサ先生やウッズ先生が、ナッツフレーバーや豆乳入りの、医局では味わえない類の飲み物を買いに行くのである。

珈琲店のまえには、手術まえの手術着姿の医師や白装束に着替えたばかりのナース、点滴台を押しながら並ぶパジャマの上にガウンをはおった入院患者さん、といった人たちで構成された、「いつも通りの」「風変わりな」行列がすでにできていた。業務連絡をしあいながら列の最後尾につくと、となりのカウンターも開いてたちまち人の数は減り、番号札代わりのレシートを手にしたテレサ先生とピノコさんは右手の柱の前へと移動する。……と、そのとき、ピノコさんが大廊下のほうに目をやり、「あ」と声をあげた。

やってきたのはオンコロジーセンター長のクルーニー先生だった。「あら」と顔をほころばせて、一緒に出勤しそれぞれの持ち場に別れたばかりの夫に近づいていくテレサ先生。白衣の妻と、水色の半袖シャツの上に聴診器を首から下げた夫は、人々が行きかう吹き抜けの天井の下でつかのまの談笑を楽しむ。……

ところが、ほどなくテレサ先生はこちらへすたすたともどり、不思議なことにクルーニー先生ももと来た道を引き返してしまった。
「クルーニー先生、コーヒーを買いにいらしたんじゃないんですか?」
ピノコさんが小首をかしげてたずねる。
「……あれ、いなくなっちゃった? 最近、胃が痛いとかいってコーヒー控えていたから。まさか私の顔見て退散したんじゃないわよね」

ピノコさんから向けられた視線をうけ、「ソウデス、テレサ先生のお顔を見て退散されたんデス」とうなずくニルバ――うーん、そういえばニルバも遠い昔、嫁ガエルの機嫌を見ながら、苦労して発見したアオムシに手を出さずに控えた経験がありましたな。え、ピノコさんも? スナック菓子をもうひと袋あけようとしたテラスちゃんのパパに、遠くから大きく首を振ったことが??

――いずこも同じ、ある朝の、愛すべき夫婦の風景である。

御礼―ニルバより

先月、ニルバ宛の写真とお便りをそっと届けてくださったブログ読者さまへ

御礼がおそくなりましたが、お心をお運びくださり、誠にありがとうございました。チームのメンバーたちと嬉しく拝見しました。

「ニルバにぴったりの写真をみつけたので」と添えていただいたチョウチョが頭にとまっているカエルの写真、ニルバ家の裏庭に貼り、いつもながめています。実際のニルバはあそこまで凛々しくはないですが、あのように凛としたまなざしをたたえ、かつチョウチョへのやさしさも兼ね備えたカエルにいつの日か成長したいとの思いに胸ふくらませています。

試行錯誤しながら書き進めるブログが、治療をがんばろうというお心の支えに役立っている様子を知り、しみじみ嬉しく存じました。「もっと書いて! 楽しみにしてます」の一言に勇気を得て、今後も精進をかさねる所存です。

ドクターも、ナースも、ニルバも、受付嬢もピノコ秘書も、患者さんとともに一歩一歩前進していく決意を新たにしております。

これからも、われらがブレストセンターチームをどうぞよろしくお願いいたします。

Tくんの美術館3

小児病棟に長期入院後、絵を描くことにめざめたブレストセンター付ナースのご子息Tくんが、医局内美術館に3度目の新作をとどけてくれました。

第3回展覧作品3点のタイトルは、「深海」「ビー玉」「ビックリこうさくスペース・マウンテン」。今回はなんと、立体的に進化しています。

色づかいもさらに進化したT画伯の世界をお楽しみください。